日本の大手銀行グループ7社・保険会社8社の投融資方針の「社会性」格付けを発表~農林中金・日本生命のスコアが大きく向上

12 12月 2019

日本のNGO4団体は、国内の大手銀行・保険会社の投融資方針を格付けする「Fair Finance Guide」日本版(http://fairfinance.jp)にて、2020年版のスコア結果を発表した。結果、昨年同様、銀行でのトップは三井住友トラスト、保険会社のトップはMS&ADと日本生命(同点首位)で、農林中央金庫と日本生命が大きくスコアを伸ばした。

前回のスコアでは2.3点だった農林中金が、今回3.2点を獲得した背景には、人権方針の策定により、国連グローバル・コンパクトやOECD多国籍企業指針を投融資方針に適用したことが背景にある。また、三菱UFJやゆうちょ銀行等も投融資方針を改訂し、スコアを伸ばした。

また、前回は0.8点だった日本生命が、今回2.6点を獲得し、MS&ADとともに同点首位になった背景にはプロジェクト・ファイナンス等における国際環境社会配慮基準である赤道原則を採択したことが挙げられる(アジアの保険会社としては初)。また、かんぽ生命以外の生命保険会社4社が石炭火力事業へのプロジェクト・ファイナンス停止方針を表明したこと、第一生命が日本の生保で初めてClimate Action 100+などの脱炭素イニシアティブに参加したこと、日本生命、第一生命、住友生命がクラスター弾等の製造企業投融資禁止を表明したことなどにより、それぞれスコアを伸ばしている。

なお、石炭火力発電への投融資方針については、7銀行ではゆうちょ銀行以外が石炭火力発電事業への融資を規制する方針を掲げているが、いずれも例外規定が幅広く設定されている。8保険会社では、上記の通り4生命保険会社が石炭火力発電事業へのプロジェクト融資を原則として除外しているものの、これまでプロジェクト融資の実績がない状況である。また、かんぽ生命、東京海上、MS&AD、SOMPOは方針を一切掲げていない状況である。

Fair Finance Guideでは、大手金融機関の投融資方針の社会性をスコアリングし、その結果を分かりやすく市民に提供することを通じて、金融機関のCSRに良い競争をもたらすことを目指している。2009年にオランダのNGOが開始し、2014年から日本も参加。現在では、11カ国でスコアリングを発表している。