銀行の透明性まだまだ不十分 ―Fair Finance Guide Internationalのレポートで国際格付けが明らかに

02 6月 2015

2015年6月2日、国際的なNGOネットワークFair Finance Guide Internationalはその構成団体が所属する7ヶ国の主要金融機関における透明性や汚職防止に関わる方針を格付けした報告書を公開した。

同報告書では投融資方針やリスク・マネジメント・プロセスの公開性や、投資先企業とのエンゲージメント結果の報告、市民社会との対話の幅や投融資先自体の公開度などの計29の指標で7ヶ国、47金融機関を評価・格付けしたもので、「透明性」ならびに「税・汚職」それぞれのテーマに関する金融機関のスコアは添付表のようになっている。

全体として、6点以上の高得点領域のスコアを獲得した金融機関は「透明性」のテーマでわずか3行、「税・汚職」のテーマでも4行であり決して高い評価を得てはいない。

日本の金融機関は、みずほフィナンシャル・グループが「透明性」で国内トップスコアの4.8ポイントを獲得しているものの、全体の順位としては11位(47行中)。「税・汚職」のテーマでは国内トップの三井住友トラスト・ホールディングスでもわずか1.3ポイントのスコアで、全体の順位では37位(47行中)にとどまった。

「金融機関自体が、社会の他の企業と比較して『特別である』と思い違いをしている限り、説明責任を受け止めることはないだろう」とネットワークを代表するTed van Hees氏は語り、リーマンショック後もいまだに金融業界にはびこるエリート思考が透明性向上の足かせとなっていると分析する。

先日HSBCが積極的に税回避のスキームを顧客に勧めていたことが明らかにされ、全世界の経済誌のヘッドラインを飾り、国内においてもみずほ銀行による暴力団融資事件が話題となったことが象徴しているように、金融機関が「汚いお金の流れ」に加担しない方針を具体的に持ち、そのことを公開することは事件防止という観点から社会に寄与するだけでなく、その銀行の格付けを守り、預金者・投資家を保護することにもつながる。

今後金融機関が自身の公共性を鑑みて投融資方針を見直し、透明性を向上することを強く期待する。

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詳細なレポートは下記リンクよりダウンロードいただけます(PDF)
Transparency & Accountability in the Financial Sector(英語)