日本の環境・人権NGOが問題を指摘している4つの開発プロジェクトを対象として調査を実施した。案件名、国名、プロジェクトに出資している日本企業は以下の通り。
- ケース1:バタン石炭火力発電事業(インドネシア):電源開発、伊藤忠商事
- ケース2:ボガブライ石炭採掘事業(オーストラリア):出光興産
- ケース3:コーラル・ベイ・ニッケル製錬事業(フィリピン):住友金属鉱山、三井物産、双日
- ケース4:ティラワ特別経済区(SEZ)開発事業(ビルマ/ミャンマー):三菱商事、住友商事、丸紅
4つの開発プロジェクトに出資している日本企業9社に対する三菱UFJフィナンシャルグループ(三菱UFJ)、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友)、りそなホールディングス(りそな)、三井住友トラストホールディングス(三井住友トラスト)の投融資状況を調査したところ、投融資の総計で5行から7兆円のお金が流れていることが判明した。
単位:億円
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三菱UFJ
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みずほ
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三井住友
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りそな
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三井住友 トラスト
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合計
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融資
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23,486.62
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19,847.97
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11,948.74
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76.05
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4,451.15
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59,810.53
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証券発行
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2,848.70
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2,377.99
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1,600.67
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0.00
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0.00
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6,827.36
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株式保有
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2,844.82
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1,945.79
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1,068.23
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9.29
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5,206.18
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11,074.31
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債券保有
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25.00
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26.55
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31.10
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0.00
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32.98
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115.63
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特に各金融機関で掲げられた投融資方針とのギャップについては、三菱UFJ、みずほ、三井住友は、先住民族の「自由で事前の情報が十分に提供された上での合意(FPIC)」に基づく土地・資源利用について、適切に実施されていなかった。りそなは、公開されている情報の中には、加点対象となる方針はなく、掲げられた投融資方針とのギャップはなかった。三井住友トラストは、世界人権宣言や国連グローバル・コンパクトの人権規範の確保について、適切に実施されてないことが明らかとなった。各金融機関は、人権配慮に関する投融資方針の策定・強化、人権配慮確認(人権デュー・デリジェンス)の強化、エンゲージメント・投融資引上げ等を図るべきである。
詳しく知りたい方はレポートをダウンロードしてご覧ください。
PDFダウンロード:Fair Finance Guide第1回ケース調査報告書 日本の金融機関は人権侵害にどう関与しているか?~海外における4つの開発プロジェクトを例に~(PDF)
※2014年12月9日に発表した報告書<第一版>は三井住友トラスト・ホールディングスの投融資額に一部間違いがあったため、それらの点を修正し、2015年1月9日に<第二版>を公開しました。