三菱UFJら:石炭火力への多額融資でパリ協定と逆行

日本も加盟している国際エネルギー機関(IEA)によると「炭素濃度をパリ協定の目標達成水準にするには、化石燃料を燃焼する発電所の新規建設は回避しなければならない」とされている。このような指摘がある中、ドイツ銀行、仏大手銀行のBNPパリバ、米大手銀行のJPモルガン・チェースなどの国際的な大手民間金融機関は新規石炭火力発電プロジェクトへの投融資を停止する方針を表明している。一方で三菱UFJをはじめとする日本の大手金融機関ではこのトレンドに逆行する形で融資を継続しており、パリ協定の目標との整合性を欠いていることが明確になった。

 具体的には、三菱UFJフィナンシャル・グループ(三菱UFJ)の融資額が約21億ドルと最も多く、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友)が約16億ドル、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)が約8億ドル、三井住友トラスト・ホールディングス(三井住友トラスト)が約6億ドル、農林中央金庫が約4億ドルとなり、総額55億ドル(約6200億円)にのぼることが明らかになった。(2005年以降判明している海外石炭火力発電プロジェクト23件について融資額を集計)

さらに、調査段階で集計対象となったプロジェクトにおいて、現地住民への補償金未払いや環境影響評価不在の大規模開発など重大な問題が国際的に指摘されているにも関わらず、日本の大手金融機関はそれを黙認し融資を継続している実態が明らかになった。これは明確なESG方針とのギャップを示しており、上記パリ協定との逆行も含めて早急な対応が求められる。

調査を行ったフェア・ファイナンス・ガイドではこのような状況を一日でも早く解消するために、金融機関には融資ポートフォリオの低炭素化に向けた目標を策定し、新規石炭火力発電への融資を行わない方針を作成することを求めている。また、法令違反・人権侵害・環境破壊が引き起こされている可能性の高い事業への融資を行わないことを明示するととともに、事業や補償内容に懸念を表明している住民との協議や情報公開を適切に実施するよう事業者に働きかけ、ESG課題の克服に最優先で取組むことを求める。

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