JICAによるバングラデシュへのLNG火力13GW増設支援の問題分析レポートを発表

19 9月 2025

9月19日、Fair Finance Guide Japanは、報告書「JICAによるバングラデシュへのLNG火力13GW増設支援~パリ協定に整合しないMIDI統合開発計画~」を発表した。報告書では、現在、国際協力機構(JICA)が策定支援しているバングラデシュ東南部マタバリ・モヘシュカリ地域の開発計画において、13GWのLNG火力発電増設を推奨しているが、これらの発電所の年間温室効果ガス排出量が約2730万トンで、バングラデシュ全体の年間排出量を約9.7%増加させる等の問題を明らかにした。

⽇本政府は2022年のG7合意において「1.5度⽬標やパリ協定の⽬標に整合的である限られた状況以外において、排出削減対策が講じられていない国際的な化⽯燃料エネルギー部⾨への新規の公的直接⽀援の2022年末までの終了にコミット」しており、1.5度⽬標と不整合なMIDI統合開発計画に対して⽀援を⾏うことはG7合意を逸脱している。

JICAはこれまで2010年、2016年及び2021年に電力分野のマスタープランの策定支援をバングラデシュ政府に対して行ったが、いずれも価格変動の大きい輸入化石燃料に依存した電力計画だったため、エネルギー危機の際に燃料不足や計画停電が発生し、バングラデシュの財政難悪化の要因となった。2025年8月時点においても、ガス不足の影響により、バングラデシュ国内のガス火力発電所51基のうち稼働しているものは11基のみで、LNG依存を高めることは同国のエネルギー安全保障を脅かすことになる。

報告書では、エネルギー安全保障・エネルギーアクセスを確保するために、JICAに対して価格変動の激しい高価な輸入化石燃料への依存を中止し、再生可能エネルギーを中心とした計画にするよう求めている。

 

本件に関するお問合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、田辺有輝/喜多毬香
tanabe@jacses.org / kita@jacses.org