パリ協定に逆行する機関投資家 ~アジアの石炭関連銘柄への投資を拡大~
Fair Finance Asia (FFA)※は、アジアにおける石炭火力発電ファイナンスの最新動向をまとめた報告書「石炭のない未来~アジアにおける公正なエネルギー転換のための投融資」を発表した。
(詳細はFair Finance Asiaウェブサイトにて報告書へごアクセスください)
世界の金融機関が保有するアジアの石炭関連銘柄への株式投資額について、2015年第4四半期末の670億ドルから2021年第2四半期末の570億ドルまで減少(図1参照)し、これは石炭関連資産の市場価値の低下やダイベストメント拡大の影響の可能性はある。しかし、2015年第4四半期末の保有銘柄を持ち続けた場合の投資額と比べて、それ以降の実際の投資額は常に上回っており(図2参照)、機関投資家の石炭関連銘柄への投資貢献度はむしろ上昇していることが明らかとなった。
図1:世界の金融機関が保有するアジアの石炭関連銘柄への株式投資額の推移(単位:十億ドル)
※2021年のデータは入手可能な直近のデータである2021年第2四半期末のデータを使用。
図2:2015年第4四半期末の保有銘柄をベースラインとした場合の各年の投資額(単位:十億ドル)
G20サミットやCOP26において、新興国も含めて多くの国が新規石炭火力発電の建設やその支援の停止を約束した。しかし、アジアには未だに432ギガワットの石炭火力発電所が建設中または計画中である。日本はインドネシアのインドラマユ石炭火力発電事業やバングラデシュのマタバリ2石炭火力発電事業への支援を準備中である。これら建設中または計画中の石炭火力発電事業の停止を拡大するために、機関投資家には更なるダイベストメントが求められている。
※Fair Finance Asiaは、カンボジア、インド、インドネシア、日本、フィリピン、タイ、ベトナムの7か国のNGOネットワークで、各国において持続可能で公正な金融を目指してアドボカシー活動を展開している。日本では、アジア太平洋資料センター(PARC)、APLA、「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、熱帯林行動ネットワーク(JATAN)の4団体が参加。
本リリースの問い合わせ先:
「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、担当:田辺
tanabe@jacses.org