Q1: Fair Finance Guide の目的は何ですか?
Q2: 日本の銀行の投融資先では、具体的にどのような問題が起こっているのですか?
Q3: 実際に「社会性の高い銀行」というのは存在するでしょうか? またそうした銀行はうまく経営できているのでしょうか?
Q4: Fair Finance Guide は国際的な取り組みとのことですが、どのような国が参加しているのですか?
Q5: 銀行の社会性評価の配点基準はどのように決められているのですか? NGO側の考え方だけでは、基準に偏りがでるのではないでしょうか。
Q6: 銀行側から見れば、これは一方的な評価結果ではないのでしょうか?
Q8: 銀行の融資の面だけを評価しているのではないでしょうか?
Q11: これまで、Fair Finance Guideにはどのような成果があったのですか?
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Q1:
Fair Finance Guide の目的は何ですか?
A:
わたしたちがお金を預けている銀行は、さまざまな企業・事業にお金を投融資しています。その中には、環境破壊、人権、貧困などの社会問題を引き起している企業・事業が含まれている場合もあります。
そこで、Fair Finance Guide では、大手銀行の投融資方針の社会性を各テーマ10点満点で「格付け」し、ウェブサイトで公開しています。このウェブサイトにより、わたしたち市民はどの銀行がよりフェアな方針を掲げているかを知ることができます。また、ウェブサイトを通じて銀行へのメッセージを送付したり、口座の預け替えのための情報を得ることもできます。
そして、この格付け結果(スコア)により、銀行側も自社の投融資方針の社会性がどの程度のものか知ることができ、その改善に向けた検討を進めやすくなります。
こうした市民側のアクション及び銀行側の検討の結果、銀行の投融資方針が改善されれば、「社会問題への資金の流れ」を抑制することができます。また、投融資を受ける企業も、こうした銀行の方針改善を受け、社会問題を引き起こす事業を中止したり、事業内容の見直しを実施したりするようになることも考えられます。
Fair Finance Guide は、このように資金の流れをフェアにすることを通じて、世界の社会問題の解決に向けた動きを加速していることを主な目的としています。
Q2:
日本の銀行の投融資先では、具体的にどのような問題が起こっているのですか?
A:
たとえば、その非人道性から国際的に使用が禁止されている「クラスター爆弾」を製造する企業に、日本のメガバンクが多額の資金を投融資していることが指摘されています。また、途上国で現地住民に対する人権侵害を引き起こしている開発事業に、日本の銀行からの資金が流入している事例も見られます。
Q3:
実際に「社会性の高い銀行」というのは存在するでしょうか? またそうした銀行はうまく経営できているのでしょうか?
A:
世界を見渡すと、特に欧州の銀行では、「こうした社会問題に関わる企業・事業には投融資しない」という方針を掲げている銀行もあり、市民から支持を得ています。たとえば、倫理的な方針を持つ銀行として有名なオランダの「トリオドス銀行」は、2008年の金融危機以降も成長を続けており、2009年から2013年の間で総資産額を2倍以上に伸ばしました。
日本でも、こうした社会性の高い投融資方針をもつ銀行が増えてくれば、私たちは安心してお金を預けることができると考えられます。
Q4:
Fair Finance Guide は国際的な取り組みとのことですが、どのような国が参加しているのですか?
A:
現在の参加国は以下のをご覧ください。参加国の拡大を目指して、各国のNGOに呼びかけているところです。
http://fairfinance.jp/#panel-3
Q5:
銀行の社会性評価の配点基準はどのように決められているのですか? NGO側の考え方だけでは、基準に偏りがでるのではないでしょうか。
A:
社会性評価の基準は、Fair Finance Guideの国際ネットワークでの議論により設定されています。その採択にあたっては、NGOが社会的課題としていることだけでなく、国連が定める国際基準であるグローバルコンパクト、世界人権宣言なども考慮し、客観的に見て銀行が取り組むべき根拠が存在するものが選ばれています。
配点基準一覧(日本語)と配点方針の詳細(英語)は以下のURLをご参照ください。
http://fairfinance.jp/methodology/
Q6:
銀行側から見れば、これは一方的な評価結果ではないのでしょうか?
A:
信頼性のある評価結果とするために、国際ネットワークで決定した評価基準に沿って各金融機関の仮採点を行った後、暫定スコアを銀行担当者に送付し、異議がないことを確認した上で、最終スコアをウェブサイトに掲載するようにしています。また、銀行担当者から仮採点結果に対して修正要望等あれば、内部で検討して必要な修正箇所については対応しています。
Q7:
投融資の「方針」だけ評価しても、実態とかい離があっては問題ではないでしょうか。たとえば「兵器産業に投融資しない」という方針を掲げていても、実際には投融資していた、というケースもあるのではないでしょうか。
A:
まず、多くの銀行が自社の投融資先を公開していません。ブルームバーグやトムソンロイター等の金融専門の情報ソース(有料)を利用すれば、一定程度は把握できるのですが、その全て把握することは不可能です。そこで、Fair Finance Guideでは、まず「社会的な投融資方針を策定し、それを公開しているかどうか」をチェックすることで、銀行の社会性を評価することにしています。
ただし、実態とのかい離についてチェックすることも重要です。そこで、ケース調査として重要と考えられる社会問題・テーマについては、実際にその投融資方針が守られているかをチェックしています。その際には、上述したような金融専門の情報ソースも活用し、投融資の実態についても調査しています。
ケース調査の結果は以下をご覧ください。
http://fairfinance.jp/bank/casestudies/
Q8:
銀行の融資の面だけを評価しているのではないでしょうか?
A:
現在の配点手法においては、各評価項目について「基礎点+スキーム別(融資・プロジェクトファイナンス・株式保有・資産運用)加点」という方式を取っており、融資だけでなく投資面(株式保有・資産運用)も含めて評価しています。
A:
Fair Finance Guideでは毎年評価基準の見直しをするとともに、スコアを更新していく予定です。
Q10:
現在の日本の対象銀行については、どの銀行も点数が低く、良い銀行を選ぶことができないのですが。また、ある銀行を選びたいと思っても、近隣に店舗がなかったり、給料の振込先が指定されているので選べない場合もあります。
A:
確かにご指摘の通り現状では日本国内の銀行の評価結果は高くありません。ただ、皆様が預金者として銀行にメッセージを送ることができるフォームもありますので、ぜひより方針を改善してもらえるように、メッセージを送るアクションを実施していただければと思います。また、今後対象銀行を拡充したり、オルタナティブな銀行をご紹介するコーナーを設けることも検討しています。
また、日本国内で社会性が高いと考えられている金融機関として、全国に13ある労働金庫や、地域活性化やNPOへの融資・助成を先進的に実施している信用金庫、地方銀行等もあります。ぜひお近くのこうした金融機関の取り組みについて、ウェブサイト等で調べてみてください。
Q11:
これまで、Fair Finance Guideにはどのような成果があったのですか?
A:
Fair Finance Guide の前身であるオランダの「Bankwizer」というウェブサイトでは、2009~2014年の5年間の間で以下の成果が達成されました:
● 約402,000人がFair Finance Guideのサイトを訪問
● 約17,000人が銀行に方針改善を求めるメッセージ
● 約31,000人が「口座を変える」ボタンをクリック
● メディアが多数の報道(ラジオ・テレビ48 回、全国紙238記事、地方紙176記事)
● オランダ国内の銀行の投融資方針は「兵器産業」「人権」「気候変動」等のテーマにおいて160以上の項目で改善