「自然環境」テーマ実態ケース調査(2015)
―邦銀大手各行、方針と投融資実態にギャップ

環境NGO や研究者が問題を指摘している5 つの開発プロジェクトを対象として調査を実施した。案件名、国名、事業に関与している調査対象企業、発生している環境問題の概要は以下の通り。

5つの開発プロジェクトに関与している企業8社に対する三菱UFJフィナンシャルグループ(三菱UFJ)、みずほフィナンシャルグループ(みずほ)、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友)、りそなホールディングス(りそな)、三井住友トラストホールディングス(三井住友トラスト)、日本郵政グループ、農林中央金庫の投融資状況を調査したところ、以下の通りとなった。

各金融機関で掲げられた投融資方針とのギャップについては、三菱UFJ、みずほ、三井住友は、保護価値の高い森林(HCVF)伐採への予防措置の奨励、絶滅の恐れのある種(レッドリスト)への悪影響の予防措置の奨励、環境影響評価の実施の奨励を融資方針としているが、これらの方針が適切に実施されていないことが明らかとなった。また、りそなは、環境影響評価の実施の奨励を、三井住友トラストは、購買方針における自然関連基準の策定の奨励をそれぞれ融資方針としているが、方針が適切に実施されていないことが明らかとなった。なお、日本郵政と農林中央金庫は、公開されている情報の中には加点対象となる方針はなく、掲げられた投融資方針とのギャップはなかった。

各金融機関は、環境配慮に関する投融資方針の策定・強化、環境配慮確認の実施強化、エンゲージメント・投融資引上げを図るべきである。特に日本郵政と農林中央金庫は自然環境に関する投融資方針を策定・公開するべきである。

PDFダウンロード:Fair Finance Guide第2回ケース調査報告書日本の金融機関は環境問題にどう関与しているか?~海外における5つの開発プロジェクトを例に~(PDF)