手軽な果物の代名詞ともいえるバナナ―。 日本にやってくるバナナの約8 割がフィリピンから届いています。しかし、その裏ではバナナ農家の苦難があり、そして先住民族の怒りがありました。私たちは消費者として、預金者としてその声に応える責任があります。 エシカル・バナナ・キャンペーンとFair FinanceGuide Japan の共同調査では、このたびバナナのサプライチェーン(産地から私たちの食卓に載るまでの流れ)を調査するとともに、スーパー、コンビニエンス・ストアチェーンなどを含む大手小売り五社の調達(サプライチェーン)方針を調査しました。 その結果、小売大手のイオン株式会社、セブン&アイ・ホールディングス、ユニー・ファミリーマート・ホールディングス、ライフ・コーポレーションではいずれも環境・人権へ配慮した調達方針を持っているにも関わらず、実際のサプライチェーンを検証すると、いずれもダニロさんやセレスさんの事例で見られるような劣悪な栽培環境から調達していないことを公開情報からは証明できません。
また、サプライチェーンの管理・方針の周知徹底が十分でない実態はバナナに限られる問題ではありません。エシカルバナナ・キャンペーン及びFair Finance Guide では小売大手が責任あるブランド企業として一層のサプライチェーン管理対策と方針の周知徹底を行なうことを求めるとともに、その取り組みが不十分な企業に対しては大手金融機関もその環境・人権方針に照らし合わせて投融資を見直すことを求めます。 現在、Fair Finance Guide Japan の格付け対象となっている金融機関の中で企業のサプライチェーン方針をその投融資行動の中で包括的に評価の対象とする金融機関はありません。そのことが今回見つかった問題の本質を示しています。 食糧システムがグローバルに広がるなか、食料品を販売する小売店の責任はグローバルに行き届く仕組みになっておらず、そのことが金融インセンティブにもつながっていません。経済的な合理性が問われてしまっているのです。この構造上の欠陥を解消しない限り、バナナ以外にも新たな問題が見つかっていくことを危惧します。