日本も加盟している国際エネルギー機関(IEA)によると「炭素濃度をパリ協定の目標達成水準にするには、化石燃料を燃焼する発電所の新規建設は回避しなければならない」とされている。このような指摘がある中、ドイツ銀行、仏大手銀行のBNPパリバ、米大手銀行のJPモルガン・チェースなどの国際的な大手民間金融機関は新規石炭火力発電プロジェクトへの投融資を停止する方針を表明している。一方で三菱UFJをはじめとする日本の大手金融機関ではこのトレンドに逆行する形で融資を継続しており、パリ協定の目標との整合性を欠いていることが明確になった。
このたび、Fair Finance Guide Japanが行った調査では、2012年から2016年10月までの間に日本の大手金融機関から遺伝子組み換え関連企業に1.8兆円もお金が流れていることが判明しました。その元をたどれば、多くは私たち預金者のお金です。また、2016年夏に公開された年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用状況によれば、私たちの年金からも3400億円近くの投資が行われていました。未来の私たちのお金が、私たちの未来を奪いかねないような産業に投資されていたのです。
現在、遺伝子組み換え作物からつくられた 食品はまだ限られています。それらを避けることも、気を付けて生活すれば比較的容易にできます。しかし、銀行に預けたお金の行き先、年金の運用先を見ていかなければ、いつの間にか私たちは遺伝子組み換え食品に囲まれて生活することになってしまうでしょう。そんな未来をつくらせないために、今銀行の実態を知り、その投融資方針を変えていくために行動しましょう。
4銀行グループは、2010年10月に全国銀行協会の申し合わせに基づいて、クラスター兵器製造を使途とする融資を禁止しましたが、クラスター兵器製造企業への融資そのものは禁止していません。今回の調査により三菱UFJ、三井住友はクラスター兵器製造企業を支援している実態が明らかとなりました。
また、巨額な公的資金運用を行う年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2016年7月29日に保有全銘柄を公表したことを受け、GPIFによる核兵器・クラスター兵器製造企業への投資額を調査した結果、約3873億円の株式、約15億円の債券を保有していることが明らかとなりました。
近年、日本国内では「ブラック企業」問題をはじめとして、苛烈な労働環境を強いる企業が問題視されており、労働問題を起こす企業は、その社会性が問われているばかりではなく、経営面でも存続が危ぶまれるケースも見られています。大手金融機関各社は投融資ポートフォリオを確認し、労働問題が発覚した際には、継続的投融資を見直す、あるいは十分な株主行動などのエンゲージメントを行い、問題の長期化・再発を防ぐべく努力することが求められています。
「ブラック企業」が目立っている昨今の日本の労働環境の問題はそれぞれの企業単体の問題ではなく、社会的な問題と言えます。その解決には消費者や内部で働く労働者、監督署だけではなく、企業行動に多大な影響を持ちうる金融機関も取り組む必要があります。
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